特色
武道は、そもそも戦いの技術として発生しましたが、近世以前に、神道や禅といった宗教あるいは茶道や能楽といった芸能など、他の様々な文化と交流をもちながら、世界的に見ても非常にユニークな運動文化として成熟し、現在に伝えられています。
武道学は、こういった日本文化としての武道を研究対象として取り扱い、その特徴を主に文献を読み解くことにより理解して行こうとする学問領域です。
現在、国内外を問わず“武道を通して日本を知ろう”という動きが盛んになり、武道は体育・スポーツ学の分野に限らず「日本学」の重要な研究対象として広く取り上げられてきています。こういった中、私たちはこれが「運動文化」であることを大切にし、実技実践を通した感性で学問的に追求していくことを信条として研究活動をしています。
また国際化する現代社会において、“武道は日本が発信すべき最大の輸出品だ”ということさえ言われています。発信元である我われが、日本特有の運動文化である武道を学術的に深く理解し、これを世界に発信していければと考えています。
教育内容
具体的な教育内容は、主に「武道学演習」において以下の手順を追って行います。
- 武道にかかわる精神文化史を鳥瞰図的に把握します。
- 実技実践にもとづく興味にしたがって、関連する研究(先行研究)を読んで学習します。
- 卒業研究のテーマを設定し(3年生2月)、それに適した研究方法を学習します。 研究方法としては、伝統的に文献を読み解く方法(文献学的手法)をとってきましたが、近年これに加えてフィールドワークを行う場合もあります。
- 卒業論文の作成は、およそ10ヶ月間かけて、指導教員の細かな指導のもと行います。
また近年、「海外における武道」あるいは「外からみた武道」を肌で感じるために、ハンガリーやルーマニアといった特に欧州圏を中心とした国々に渡航し、実技指導の補助および共同研究への参加を行う「文武両道武者修行プログラム」を試行実施しています。これにより得られた広い視野による感性を、論文作成に反映させています。
近年の卒業研究におけるキーワードとしては、以下のようなものがあげられます。
宮本武蔵、柳生宗矩、塚原卜伝、山岡鉄舟、高野佐三郎、沢庵宗彭、構え、足遣い、間、呼吸、形、礼法、心身関係、心法論、武士道、修行、試合
指導教員
代表・酒井 利信 教授
(sakai.toshinobu.gp@u.tsukuba.ac.jp)
大石 純子 准教授
(oishi.junko.fu@u.tsukuba.ac.jp)
堀川 峻 特任助教
(horikawa.takashi.gf@u.tsukuba.ac.jp)